国道157号 根尾能郷−根尾大河原 その1
通行日:2012/05/20(日)

国道157号 根尾能郷−根尾大河原 について

国道157号の根尾能郷−根尾大河原の区間は,岐阜県本巣市(旧根尾村)にあり,根尾西谷川に沿って走る山間の区間であり,国道418号との重複区間である。この区間は川の下流側から,大型車最終回転場(根尾能郷) - 0.5km - 根尾能郷ゲート - 6.5km - 根尾黒津ゲート - 7.0km - 根尾大河原,の約14kmからなる。
その大部分は自動車同士ですれ違い不能な1.0から1.2車線の断崖の狭路であり,根尾能郷ゲート付近には「落ちたら死ぬ!」という看板まで設置されている。崖道であるため,土砂崩れ等の災害が発生しやすく,根尾能郷ゲートから根尾黒津ゲートまでの区間は頻繁に通行止めになり,時にそれが数年間に及ぶこともある。

今回は,根尾能郷ゲートまで車で行き,そこから根尾大河原へ自転車での通行を試みた。

国道157号 根尾能郷−根尾大河原 の経路図

 

最終回転場から根尾能郷ゲートへ

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根尾西谷川を渡ってすぐのところにある,大型車の最終回転場の全景。
標識によると,根尾村能郷から大野市巣原まで大型車が通行不能とのこと。

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前の写真にある赤い橋の銘版。文字は変体仮名。
この五文字を現在のひらがなで書くと,のうごばし。

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最終回転場から400mの地点。すでに根尾能郷集落を抜けつつある。
集落最後の民家の手前に道路情報の案内板と標識がある。
その先の右カーブを曲がると100mほどで根尾能郷ゲートに到着する。

根尾能郷ゲート

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根尾能郷ゲートの全景。

ゲートが常設されていることが物語る通り,ここから根尾黒津ゲートまでの約6.5kmの間は冬季だけでなく災害による通行止めも多い。2005年11月から通行止めが続いており,通行日の時点では6年半継続していることになる。ただし,土砂崩れが放置されているわけではなく,地道に復旧工事が行われているが,それが終わらないうちに別のところが崩れたりして工期が延びているようだ。

通行止めが長引くにつれて,ゲートに取り付けられる通行止めの看板も増えて行ったらしく,通行日時点ではゲート幅いっぱいに広がり,これ以上増やす余地がないくらいにまで成長(?)している。内容はどれもほとんど同じではあるが,数が多いのでものものしい雰囲気は出ている。

ゲートは左側の人用の小さい扉も含めて施錠されているので,先に進む場合はゲートの右側を回り込むことになる。右側は谷になっているが若干のスペースはあり,慎重に自転車を押していけば通過できる。

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ゲートの右側に目をやると見えるのが「落ちたら死ぬ」の看板。過激な文言で有名なこの看板はこの酷道の名物である。ここよりも危なっかしい国道は他にも少なからずあるし,この国道157号だけが特別に険しい崖道というわけではないが,「落ちたら死ぬ」というのは強烈で,この看板1枚で酷道としての知名度を大いに上げている。

この看板は,以前はゲートの先に設置されていたらしいが,今はゲートのすぐそばに移設されている。ゲートで引き返す人にも見られるよう配慮したからなのかは知らないが,通れなくても名物鑑賞ができてそれなりの満足感があるのは良いと思う。

ここで自転車に乗り換えて先に進む。

根尾能郷ゲートから法面崩落区域へ

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根尾能郷ゲートから約2.5kmの地点。

根尾能郷ゲートとの標高差は100m弱。緩やかな上りである。左に山を,右に谷を見ながら,車ではすれ違いのできない1.2車線ほどの狭路を進む。カーブ等ではときどき写真のような1.5車線ほどの少し広い場所があるので,基本的にはそういう場所で離合することになる。路面状態は概ね良好で,落石や枝などの障害物は少ない。

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根尾能郷ゲートから約3.1kmの地点にある覆道(Rock-shed or Snow-shed)。

根尾能郷ゲートから根尾黒津ゲートまでの間の唯一の覆道である。

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木が生い茂っていて,谷側へのカーブなのに先が見通せないこともある。

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根尾能郷ゲートから約4.2kmの地点。

工事現場が近いようだ。しかし,日曜日のしかも早朝なので人の気配はない。
この先の左カーブを曲がってみると‥‥

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道路工事の概要を記した看板がある。それによると,この工事は2012年8月31日で終わることになっている。それまでに別の場所で災害が起こらなければ,長年の通行止めについに終止符が打たれることになるのだろう。

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自転車でならほぼ一直線に進めそうな小刻みなカーブが続き,その先にショベルカーが見えてきた。そこからが本格的な工事現場ということなのだろう。

法面崩落区域

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ショベルカーが道の中央に停めてあり,その手前にはバリケードが置いてある。とはいえ,隙間は十分広いので自転車で難なく脇を通過できた。

問題はその先の崩落がどの程度なのかということ。(1)自転車を担いで通過できる程度なのか,(2)人だけなら通れるのか,あるいは,(3)人だけでも通過できないのか。できる範囲で事前調査をして,自転車を担いで通過できそうだという見通しは持ってはいたが,実際のところどうか。

ショベルカーの奥の右カーブを曲がると‥‥

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根尾能郷ゲートから約4.5kmの地点にある崩落現場に到着。約10m-20mに渡って法面が崩落している。

左カーブで坂を上っていく道のように見えなくもないが,直線道路が土砂に埋まり,重機で踏み固められてできた坂というのが実際である。大量の土砂が押し寄せて電柱は傾いてしまっているが,道自体が崩壊しているわけではないので慎重に進めば自転車と共に通過できそうである。

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重機の踏み跡を上ったところ。この先は踏まれておらず,木の根混じりの柔らかい土砂の上を自転車を担いで歩くので,危険度は低いものの少々歩きにくい。

向こう側にはさっきのとは別のショベルカーが見える。崩落区間の両側から同時に復旧工事が進められていることを窺わせる。

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崩れた土砂で埋まった区間を越えたところ。道路脇には土砂に混じっていた木の根っこが積み上げてある。
ここで後ろを振り返ってみると‥‥



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こんな感じ。道路はそれなりの量の土砂に埋もれている。
ここで左側に目をやると‥‥



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白いガードレールが左側に見える。これは数枚前の写真の小刻みカーブが連続していたところ。



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ショベルカーの脇を通過して最初のカーブ。バリケードがあり,ここまでが実質的な工事区間であることを示している。軽トラがあるが人の気配はない。

ここにはおにぎり標識も設置されていて,ここが紛れもなく国道157号であることを再認識させられる。古くから国道指定されている100番台の国道の整備状況としてはかなり悪い部類に入るが,主要な幹線道路でもなく,間に一定規模の街があるわけでもないので仕方のないところか。



作成日:2013/06/19
更新日:2013/06/19